三重県名張市における地域交通コーディネーター育成と公共ライドシェア実証を支援
薦原地域のニーズを起点に、利便性・持続性を両立する移動サービスモデルの確立を目指します

地方自治体向けスーパーアプリ「パブテク」やAIを活用した行政支援ツール「パブテクAI行政」を開発・運営する株式会社パブリックテクノロジーズ(本社:東京都中央区、代表取締役社長 CEO:青木大和、以下「当社」)は、三重県名張市(以下「名張市」)において、地域交通コーディネーターの育成プログラムを主催するとともに、公共ライドシェア「コモコモらいど」の実証運行の立ち上げを支援します。市内の移動課題に対し、住民アンケートや乗降データの分析、関係者協議を通じて運行方針を設計し、予約型運行の検証・評価までを段階的に実施。地域の実情に根ざした、使いやすく持続可能な移動サービスの確立を目指します。
背景と課題
名張市では、小学校区単位の地域づくり組織を中心に、コミュニティバスや外出支援など地域資源をつないだ移動支援が育まれてきました。一方で、人口構造の変化や居住の分散、時間帯・曜日による需要の偏りに対し、定時定路線だけでは“行きたい時に行けない”場面が生じやすく、利用数の減少や空車運行が課題となっています。とりわけ薦原地域では、高齢化の進行や最寄り停留所までの距離が障壁となり、通院・買い物など日常移動の確保が困難な状況が生じています。
また、運行の評価・再設計を継続的に回すための人材とプロセスが十分に整っておらず、データや住民の声を踏まえた意思決定が難しい現状があります。福祉の外出支援も需要増で担い手の負荷が高まり、支援と公共交通の役割分担が確立されていません。
当社は、こうした課題認識のもと、地域交通コーディネーターの育成を通じて“設計・実装・評価”のサイクルの文化を地域に醸成させるとともに、公共ライドシェアの立ち上げ支援(制度設計・オペレーション設計、関係者協議の設計運営など)を一体的に行い、地域と行政・事業者が協働して持続可能な公共交通サービスへ移行できる基盤づくりを後押しします。


本事業の特徴
本事業は、名張市の地域公共交通計画に位置づけられた「地域交通の再編」を現場起点で具体化する取組みとして、人材育成と公共ライドシェアの立ち上げ支援を一体で推進します。まず、人材育成では、地域コミュニティバス運営委員会や行政職員等を対象に、需要把握、運行評価、合意形成を体系的に学ぶセミナー/ワークショップを通じて、データと住民の声に基づく意思決定を自走化します。これにより、運行の見直しを行政主導のスポット的な対応ではなく、地域に根づく継続的なサイクルへと転換します。
並行して、公共ライドシェアの立ち上げ段階では、制度手続(交通会議・運輸局届出)や実施主体の整理、住民ドライバー体制、予約・配車のオペレーション、広報・周知、効果検証設計などを、名張市および薦原コミュニティバス運営委員会と連携して設計・運営。住宅団地部は定時定路線、分散集落部は住民ドライバーによる公共ライドシェアを組み合わせる再編方針に沿い、エリアとニーズに応じた運行案を検証します。実証では電話予約・週数日の運行・1乗車500円といった運用条件のもと、市が運営委員会に運行委託し、認定講習を受けた住民ドライバーが担う枠組みを整備します。
さらに、既存のコミュニティバス「コモコモ号」との役割分担を明確化しつつ、乗継や接続利便の観点も踏まえた再編を段階的に検討し、実証結果を可視化することで本格運行や他地域展開の判断材料を提供。これらのプロセスを通じ、地域の実情に合ったサービス水準の設定と財政持続性の両立をめざします。


運行概要
コモコモらいど(公共ライドシェア) | コモコモ号(コミュニティバス) | |
---|---|---|
サービス形態 | 住民ドライバーによる自家用有償運送(予約制・デマンド型) | 定時定路線の循環バス |
実証(運行)期間 | 2025年10月1日〜2026年3月31日 | 再編して継続運行 |
運行日・時間 | 月・水・金曜日 9:30〜16:30 | 平日4便の循環(時計回り/反時計回り) |
予約受付 | 火・木曜日 9:00〜12:00(電話予約) | |
運賃 | 1乗車500円/人(現金)※未就学児無料、相乗りでも同額 | 1乗車200円(各種割引あり) |
年会費/登録 | 登録制・年会費(実証期間500円、翌年度1,000円予定)/初回は市民センターで利用者登録 | 不要 |
運行区域・対象 | 薦生・八幡・西田原・鵜山・家野・葛尾およびコモコモ号のバス停付近(在住・在勤者が利用可) | さつき台団地内ほか(既存系統と接続) |
主な接続 | 桔梗が丘駅で既存路線(例:ナッキー号)に接続 | 桔梗が丘駅・オークワ・マックスバリュ等に停車(買い物回遊に配慮) |
休止日 | 火・木・土・日・祝日、12/29〜1/3 | 土・日・祝日、12/29〜1/3 ほか |


人材育成スケジュール
キックオフ/現状共有 | 2025年10月3日(金) |
セミナー/勉強会 | 2025年11月(予定) |
ワークショップ | 2025年12月(予定) |
協議会・中間共有 | 2026年1月(予定) |
最終整理/提案 | 2026年2月(予定) |
※プログラムの内容・時期は調整により変更となる場合があります


今後の展望
当社は「Japanese Dynamism ―地域から世界へ、日本を躍動させる―」を掲げ、地域が秘めるポテンシャルを最大限に引き出す取り組みを進めています。名張市との取り組みを通じて、地域住民の声に耳を傾け、より良い公共交通を提供できるようシステムやアプリケーションの最適化を進めると同時に、これまで当社で培った知見と技術、そして本プロジェクトから得られる新たな知見を活用し、日本全国の交通空白の解消に貢献できるよう、継続して尽力してまいります。
当社は、日本各地の公共交通をデジタル技術で支え、拡張することで、誰もが安心して移動できる環境づくりを目指しています。本取り組みに関心をお寄せいただいた方は、下記までお問い合わせください。
info@pubtech.jp または https://www.public-technologies.com/contact